柔和

HE★VENSの天草シオンだ。



歌は人により感じ方が異なる。
心に留まる場所や良き面もまた、
我と他の皆とでは違いが出ることもある。
先日互いに感想を伝え合った際に、
そのことを改めて感じた。

ならば、楽曲の魅力をより伝えるためには、
自身以外の者からも語った方が良いのではないか。
そんな話になり、執筆の順番と共に
誰がどの曲を紹介するのかくじを引いた。


我が最初になってしまったことには少々不安を覚えるものの、
これもHE★VENSのため。
何とか無事やり遂げたいと思う。



天草が綴るのは瑛二の「宵闇Secret moon」だ。
流麗に透き通り、時には微かに囁くような歌声が
瑛二の優しき心をよく表している。


先だっての「One Day」の収録にて
天草が楽譜で指を切ってしまった際も、
すぐに絆創膏を渡してくれたのは瑛二だ。
その後も何くれとなく、細やかに気を遣ってくれた。

曲の最も盛り上がる場所へ向かう前、
高き声音が綺麗に伸びるのが美しい。
その甘く柔らかな響きは、
毛布にくるまれた時の温もりのようだ。
とても心地よく、落ち着いた気持ちになれる。



曲の終わりの一言が、胸を打つ。
瑛二のエンジェルへの深き想いがよく感じられる
素晴らしき部分である。



エンジェルもそれぞれの気に入りの部分を
見つけてもらいたい。

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真心

HE★VENSの天草シオンだ。

先日、ソファにて休息を取っていた時のことだ。


綺羅が通りかかったため、どこへ行くのかと問うたところ、
トレーニングだとの解を得た。

共に行かぬかというありがたき申し出に対し
天草は否と口にしてしまった。
仕事を終えての疲労した体では
足手まといになるだろうと考えてのことである。



だが、天草を誘ってくれた優しき心には応えたい。
代わりに何かできることはないかと思案していたら、
折よく大和が帰宅してきた。

トレーニングのことならば、
大和に尋ねるのが良い。



思った通り大和は天草に多くの知恵を授けてくれた。
それだけではない、最後にこう告げたのだ。
大事なのは己の心であるがゆえ、
その時一番為したいことを選ぶべきだと。



知恵と曇りを晴らす言葉の両方を手にし、
我は急ぎあるものを探し出して綺羅の帰宅に備えた。
昨今の天草が愛用している、
柔らかき真綿の手触りを持つタオルだ。




果たして綺羅は、
喜んで使ってくれた。


良き日であった。

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静穏

HE★VENSの天草シオンだ。


エンジェルが我らに届けし想いは、
どれも等しく強くこの心に響いた。
深い喜びを感じている。

これから綴るのは我からの返礼である、
「エンジェルと過ごす1日」についてだ。
天草なりに精一杯応えていきたいと思う。



我がエンジェルと過ごすのにふさわしき地……
ひらめいたのは、先日まだ暑い夏の最中、
仕事帰りに縁あって立ち寄った静かな公園だ。


一歩足を踏み入れると、そこは柔らかな緑に囲まれていた。



樹々を抜けた風は肌に当たれば幾許かの
冷たさを返し、胸に抜ける空気は瑞々しく澄み渡る。

緑の背を持ちし鳥たちのさえずりが響く中、
足元では小さなせせらぎに水鳥が遊ぶ。


しばし癒しの時を持つことができた。


あの時の満ち足りた気持ちを、
そなたにも味わってもらいたい。
心よりそう思っている。



陽の光が和らぐこれからの季節ならば、
我が目にした深緑ではなく赤や黄色の葉が
見られるだろう。


静かに落ち葉を踏みしめながら、
小鳥の姿を追い求めたい。
道の先には休息用の腰掛けもある。
並んで座り樹々を見上げるのもまた
良き時間の過ごし方だ。



緩やかに流れゆく空気を、そなたと共に感じたい。

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黎明drops

HE★VENSの天草シオンだ。


此度出るアルバムで、
天草は「黎明drops」という名の歌を奏でる。

どのような作品なのか、
しばし綴りたいと思う。  



軽やかな朝露のような音が
そっと降り立つところから歌は始まる。

耳にした瞬間、朝の静謐な空気に包まれた森の中で
ひとり立つさまがおのずと思い浮かんだ。


自然の持つ安寧は、天草の好むところだ。
穏やかな心で己に向き合うことができる。


一心に歌詞を綴るうちに、
エンジェルへの限りなき想いが
より鮮明になっていった。
心の中でとめどなく溢れ、
とどまることを知らない。


胸の内にはいつも、眩いそなたの笑顔がある。
そなたを愛するという行為そのものが、
我を我たらしめているのだと改めて知れた。



その気持ちを大切にし、
光を受けて柔らかに輝く雫を守るように
声をのせていった。

歌に込めた情感を、
どうか受け取ってはくれぬだろうか。

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陽光

HE★VENSの天草シオンだ。


先日我らが演じた黒き庭の物語は、
館での撮影を主として行われた。



常よりも長い待機の際、散策に向かおうとした我に
ヴァンが声をかけてきた。
我ら全員で行う隠れ鬼への誘いだ。


無論断る理由はない。
早速天草もこの身を隠すべく数多の部屋を彷徨した。


遂に見つけたのが、広間の窓にひらめくカーテンの間だ。



潜んでからしばらくの間は、天草の前を通り過ぎる
足音を何度も聞いていた。



だが、注がれる柔らかな日差しに負けて
つい目を閉じた瞬間に、見つけたと声をかけられた。
我の髪が布のはためきの向こうに見えたのだと言う。


実に無念だった。



広間では、ソファにも輝く太陽の光が届く。
撮影の合間、そこに腰かけ皆と談笑するひと時も
かけがえのないものであった。


エンジェルの上にも、明るい光が降り注がんことを。

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