HE★VENSの天草シオンだ。
先日我らが演じた黒き庭の物語は、
館での撮影を主として行われた。
常よりも長い待機の際、散策に向かおうとした我に
ヴァンが声をかけてきた。
我ら全員で行う隠れ鬼への誘いだ。
無論断る理由はない。
早速天草もこの身を隠すべく数多の部屋を彷徨した。
遂に見つけたのが、広間の窓にひらめくカーテンの間だ。
潜んでからしばらくの間は、天草の前を通り過ぎる
足音を何度も聞いていた。
だが、注がれる柔らかな日差しに負けて
つい目を閉じた瞬間に、見つけたと声をかけられた。
我の髪が布のはためきの向こうに見えたのだと言う。
実に無念だった。
広間では、ソファにも輝く太陽の光が届く。
撮影の合間、そこに腰かけ皆と談笑するひと時も
かけがえのないものであった。
エンジェルの上にも、明るい光が降り注がんことを。